長期的なトレーニング中断。マッスルメモリーは本当にあるの?

コラム

日々トレーニングに励んでいる中で、怪我をしてしまったり、環境が変わり、どうしてもトレーニングを長期にわたり中断しなければならないケースがあります。

先日、知人から「長期にわたってトレーニングを休まなければならなくなったけれど、復帰する時はマッスルメモリーを信じて、また頑張るよ」と言われました。

怪我をしている時の過ごし方って迷いますよね…。

マッスルメモリーとは簡単に言えば長期にわたりトレーニングを中断した場合、筋力などは落ちてしまうが、再度トレーニングを再開した際には中断前のレベル付近までは比較的短期間で筋力などが戻る、と言うものです。

つまり「筋肉の記憶(マッスルメモリー)」によって初めてトレーニングを行う場合よりも、中断した後には比較的容易に成果が上げられるという事です。

マッスルメモリーはこれまで、神経系の働きによるものと言われてきていました。

マッスルメモリーはどうやって起こるのか、謎はまだ多い…。

神経系の働きとは、最初(中断前)に得られた成果は筋肉を動かす協調性の向上の成果であり、仮に長期間中断した後であっても、この筋肉の協調性が筋肉に「記憶」として保存されているため、再開時に比較的筋力や筋量が向上しやすい、と言う考えが中心でした。

つまり「自転車に一度乗れると、しばらく乗らない生活が続いても乗り方は忘れない」のと似ている感じですね。
乗り方を忘れていない(動かし方を知っている)ため、長期間乗っていなく(体を動かしていなく)ても、再開した時は比較的簡単に乗れ(正しいトレーニング動作ができ)るからといったところでしょうか。

しかし、私自身の素人考えでは現在まで苦労して筋肉をつけてきたのに、長期間の中断を挟んでしまっては戻すのは大変なのではないか…マッスルメモリーって本当にあるのか、という疑問もあったため、ちょっと調べてみました。

マッスルメモリーに関する研究とその結果

テキサスA&M大学の研究で、マッスルメモリーに関する研究を行ったことがあるようです。

長期間にわたるトレーニングの中断後にトレーニングを再開した際の影響について、ラットを使った実験を行いました。

ラットに、体重の50~100%の重りを着け、はしごを昇る運動を強制的に8週間行わせて、20週間中断した後、再度8週間同様の負荷で運動を行わせた、と言う実験です。

この実験の結果は「中断後のトレーニング時の筋量の増加幅は、トレーニング中断前の8週間における増加幅よりも大きかった」と言う結果と「筋収縮にかかわる筋肉の特性は特に変化が無かった」と言う結果が出たようです。

マッスルメモリーに関する研究から得られた結論

ラットを使った実験ではありますが、中断後のトレーニング再開後は急速な筋力の増加がみられました。

このことからマッスルメモリーが存在することは明らかです。

しかし、先述した通り、筋収縮にかかわる筋肉の特性は特に変化が無いという結論も出ているため、この中断後の筋量の増加幅の増大が神経系の働きの働きによるものなのか、収縮にかかわる働きによるものなのかは明らかにはなりませんでした。

神経系の働きではないけど…マッスルメモリーは存在する

前述の研究結果では、マッスルメモリーは存在するけれど、神経系の働きかはわからない…という結果が出ました。

しかし、マッスルメモリーは存在することがわかり、長期間のトレーニング中断が成長の可能性を妨げ、過度に悲観的にならなくてもいいという事がわかります。

また、長期間(数週間)のトレーニングの中断が刺激に対する筋肉への影響を変える可能性がある事も考えられます。

例えば、トレーニングも食事も気を付けているのに、いまいち成果が出ない場合など、慢性的な疲労や故障の可能性もあります。

もちろん、怪我をしない事が一番ですが、疲れが溜まっていると結果が付いてこなかったり、怪我にもつながります。

そういった時に少し中断期間を置くことでそういった停滞(プラトー)を打破することができる可能性もあります。


いかがだったでしょうか。

私自身、怪我で数週間トレーニングを休んだ時はありますが、少しナーバスになってしまいます。
しかし、たとえ長期間の中断であっても、復帰しなければ始まりませんね。
一番よくないのはそのままやめてしまうことかと思います。

現在、やむを得ない理由で中断されている方の参考になればと思います。

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