飲み会や普段の会話の中で「ウェイトトレーニングをやっている」と言うと時々ですが「筋トレでつけた筋肉って、使えない筋肉なんでしょ?」と言われます。
「え?そうなの?なんで?」と聞き返すと大概の人は明確な答えを持っていません。
わ、私が一生懸命頑張ってきたウェイト等の各種トレーニングでつけた筋肉って、使えない筋肉だったのか…とは思いません。
そもそも使える筋肉って何なのよ?ということで簡単に筋トレでつけた筋肉と競技をバランスさせる事について書いていこうと思います。
使えない筋肉かどうかの答えは…
「イエス」で「ノー」です。
細かい説明は省きますが、筋肉を車のエンジンに例えた場合、筋肉の大きさはエンジンの基本性能(排気量や馬力、パワー)です。
筋肉の大きさが大きいとパワーやスピードが上がります。
じゃあ筋トレすれば強くなるじゃないか、というとそうも話は単純ではありません。
実際、格闘技においても筋肉が大きく、筋量が多い人でも打撃力、組む力が発揮されず「あれ?この人、見た目より強くない?」といった事はあります。
そんなことがあるため「筋トレでつけた筋肉って~」と言われてしまうのですが、なぜ強くなるはずの筋トレであまり強くない人が生まれてしまうのでしょうか?
筋トレとスポーツ動作の違い=反動の使用の有無
例えばサッカーや野球などのボールを蹴ったり投げたりするスポーツで、体の反動を使わずに遠くにボールを蹴ったり、速球を投げる事は可能でしょうか?
想像してみればわかりますが、難しいですよね。
思い切り反動を使うところにより効率よく体の力を使い、力を対象に伝える事が出来ます。
筋トレにおいても同じです。
バーベルやダンベルをもって腕を曲げ伸ばしするアームカールと言う運動を、少し膝や背中を曲げて、身体を前後に振ったり、伸ばす勢い(反動)を使って行った場合、反動を使わなかった場合と違ってより重い重量を持ち上げる事が出来ますね。
一方で「筋トレ」はいかがでしょうか。
先述したのと同じ、アームカールを例にとると、基本的に筋トレにおいては反動は使いません。
筋トレにおいては反動を使った動作は(基本的に)NGとされています。
なぜならばじっくりと負荷をかけて筋肉に刺激を入れ、より筋肉の成長を促すため、あえて反動を使わない動作を心がける必要があるからです。
筋トレだけではNGな理由
スポーツ動作において反動を目いっぱい使うことはお分かりの通りです。
それに対して筋トレは反動を使いません。
筋トレだけ行っている場合
・反動を使う動作を体に覚えさせられない
・反動をあえて使わない動作の癖が身についてしまう
といった可能性があります。
つまりは「鍛えた筋肉がスポーツに対応する動作に慣れていない」と言うことですね。
ここから「筋トレで鍛えた筋肉は使えない」と言われてしまったのではないでしょうか。
つまり、筋トレをした「だけ」の体では競技においてその筋肉をフルに使うことが出来ず、結果として足かせになり、能力が発揮できないということですね。
じゃあ、筋トレはスポーツの邪魔になるの?
というと、邪魔になる事はありません。
先述した通り、よりパワーを発揮したり、スピードを発揮するためには筋力を向上させる事は有用です。
必要なのはその筋力を生かし、より効率よく体を動かす方法のトレーニングです。
つまり、筋力トレーニングとスポーツ動作を結びつけるトレーニングが必要と言うことです。
筋トレ×スポーツと結びつけるトレーニングのヒント
通常の筋トレにプラスして反動や、よりスポーツ動作に近いトレーニングを行う場合、どのようなトレーニングをプラスしていけばよいのでしょうか?
いくつか挙げると
・BOXジャンプなど、全身の反動を使い、なおかつ切り返しの動作を連続して行う運動を行う
・よりダイナミックなストレッチを含んだ動作を行う
・反動を利用したクイックリフト系トレーニングを行う
・ウェイトトレーニングの種目で「あえて」反動を使って行う
等々、言うならば筋力を養うというより「筋力を発揮する力」を養うトレーニングを行うことが筋トレをスポーツにより生かすことが出来るヒントかと思います。
そうしていくと、全身を連動させて、なおかつ反動を目いっぱい使うケトルベルトレーニングを通常のトレーニングメニューに追加するのは理にかなっているのかもしれませんね。
エンジンチューニングでワンランク上の選手に!!
私の格闘技以外の趣味として、自動車やバイクの運転があります。
2000年代初期に出たシルビアと言う車(所謂スポーティーカー)に乗っていますが、色々こだわって弄っています。
吸気、排気の効率を良くして、エンジンをより効率よく動かし、パワーを出るようにして…そうするとそのパワーをノーマルな足回りでは受け止めきれなくなるから足回りもより強くして…。
あれれ、パワーを上げて行ったら燃料噴射量が足りないぞ?コンピューターを弄って燃料噴射量を変えてみよう…あらら、噴射したい量に対して燃料ポンプが能力不足だから燃料ポンプを大きいものに…。
といったように、ただ単純にパワーを上げていくだけでは車は速くなりません。これはスポーツにおける筋トレのあり方についても同じじゃないかと私は感じます。
パワーアップ部品(筋トレ)を取り付けてパワーを上げた分、どうしても他の部分に負荷が掛かったり、逆に効率が悪くなってしまう場合があります。
受け皿となる部分も強化してあげたり、より効率よく動かしてあげるための「チューニング(前述の筋トレとスポーツを結びつけるトレーニング)」が必要なのです。
筋トレにプラスして筋トレをスポーツに生かす動作をプラスして、ワンランク上の選手を目指しましょう。
…と書いてきた筆者もまだまだなので、頑張ります。
皆様のトレーニングの参考になれば、幸いです。
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